裏側矯正のメリットについて矯正歯科医がまとめました
1 見えにくい
裏側矯正は歯の裏側に装置が付くので、見えにくく審美的な装置です。インビザライン(マウスピース矯正)では”アタッチメント”と呼ばれるプラスチックの突起を前歯の表面につけることが多いですが、裏側矯正では最小限で済みます。ただ裏側矯正も奥歯の表側には矯正装置をつけないといけないことがよくあります。
2 抜歯の矯正も可能
インビザライン(マウスピース矯正)では基本的に抜歯の矯正はできません。ひとまず抜歯をせずにスタートして、前歯が平らになったときの出っ歯具合で抜歯するかしないか決める・・ような場合であっても、裏側矯正なら対応が可能です。
3 さぼって失敗することが少ない
インビザライン(マウスピース矯正)の場合は1日22時間以上装着している必要があります。患者様の協力度が低いと、失敗してしまう治療法です。裏側矯正の場合は装置が付きっぱなしなので、患者様の協力に依存する部分はインビザラインに比べると低いです。
4 歯科医師がその場で調節できる
インビザライン(マウスピース矯正)の場合には、何か変更を行うにはいちいち型をとってアメリカに送る必要があり、時間が1ヶ月程度余分にかかってしまうことが多いです。裏側矯正の場合は歯科医師がその場で調整するので、時間のロスが少ないです。
5 細かい調節が可能
インビザライン(マウスピース矯正)の場合は、上顎と下顎との間にマウスピースが介在しており、どうしても噛み合わせの調整という面ではやりにくいところがあります。また時間が経つと最初にとった型とは合わなくなってきます。裏側矯正の場合はその場その場でフレキシブルに歯科医師自身の手で噛み合わせの改良が可能で、細かな修正も行えます。ただ、噛み合わせの調整の部分は表側矯正に比べてかなりやりにくく、仕上げの部分では表側矯正よりも少し長い期間(最大半年程度)とより高い歯科医師の技量が必要になります。
6 虫歯になりにくい
じつは表側矯正よりも裏側矯正のほうが虫歯になりにくいというデータがあります。これは歯の裏側のほうが虫歯を防ぐ作用のある唾液の循環がより良いためと言われています。ただし歯ブラシのやりやすさは表側矯正やいつでも外せるインビザラインに軍配が上がります。ただインビザラインは仕事中に甘いものを食べることが多い女性の場合、人前でそんなにしょっちゅう外せないという理由で裏側矯正を選ばれる患者様もいます。
おわりに
審美的な矯正をご希望の場合、抜歯の必要が無い比較的簡単なケースの場合はインビザラインがおすすめです。抜歯を伴うようなケースや、噛み合わせの調整が難しいケースの場合には裏側矯正が適しているといえます。以前は裏側矯正の適応症は表側矯正より少なく、綺麗に仕上がらないと言われていました。近年では裏側矯正に熟達した歯科医師が治療した場合、表側矯正とほぼ同等の結果が出せるようになってきています。それでも表側矯正のほうが治療しやすい症例は現実としてあり、治療期間も裏側矯正は仕上げに時間がかかる傾向があるので表側矯正と比べて半年程度長くかかることがあります。