部分矯正の注意点とは・・?矯正歯科医が教えます

お手頃な料金で早く終わる部分矯正!でも良いことばかりなのでしょうか・・?

前歯の一部だけ気になる・・だけどそんなにコストもかけたくないし・・。そんなときに”部分矯正”はとても魅力な選択肢です。ですが、大学でトレーニングを受けてきた矯正専門の歯科医師の多くは部分矯正をあまり積極的にやりません。どうしてなのでしょうか・・?

1 出っ歯になりやすい

部分矯正をシミュレーションしてみました。術前の画像です。

部分矯正後のシミュレーション画像です。紺色が術前の状態です。グリッド(1目盛り1mm)がつけてあります。
歯が全体的に外側に飛び出し、前歯が少し”出っ歯”になっていることがわかります。
奥歯に装置が無いので、出っ歯になった前歯を後ろにひっぱることもできません。
部分矯正では、一番出っ歯の歯が引っ込むのでは無く、一番出っ歯の歯に合わせて全部の歯が少し前に出ていくようなイメージで直ります。
そのため歯と歯の間を歯の健康を害さない程度に削ることが多いですが、せいぜい1.5~3mm程度しか削れません。部分矯正で対応可能なのは歯と歯の重なりが最大3mm程度までの凸凹やすきっ歯です。前歯を大きく下げることは困難です。

2 上の歯と下の歯が咬まなくなる

シミュレーション画像のように上顎だけ部分矯正をして上顎の歯が前側や外側に動いてしまうと、上顎の歯と下顎の歯がうまく咬まなくなってしまいます。
患者様は自分の歯を鏡で見るとき、上だけ、下だけでどうしても考えてしまいがちです。
ですが歯は上下が噛んでいないと困ります。上顎の歯並びだけ綺麗になっても、下顎の歯とうまく咬まなくなってしまったら本末転倒です。
見た目だけでなく、”うまく上下を咬ませる”こと。これこそが、矯正専門歯科医の腕の見せ所です。上顎と下顎のワイヤーをうまくアーチコーディネートして、顎間ゴムを使いながら上下の噛み合わせを整えていくことは、熟練した矯正歯科医だけが行える”匠の技”なのです。

おわりに

部分矯正ではスペースが足りず不十分な仕上がりになりやすいです。部分矯正は実際のところワイヤーで全体矯正を行う技術の無い、矯正専門のトレーニングを受けていない歯科医師によって行われていることが多いです。
部分矯正は、部分矯正で対応可能なところまで並べるだけで良いという方か、もし部分矯正で満足できないときは差額を支払って全体矯正にしても良いという方が行うべきです。



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