出っ歯の矯正!あなたならどうする?矯正歯科医が教えます。

矯正治療、かぶせ物の治療、外科手術の3つがあります!

1.矯正治療で直す場合

出っ歯の治療として矯正治療は最も一般的な治療法です。
前歯全体を後ろに下げる治療を行うときには、前から4番目の歯を抜歯してスペースを作り前歯を後ろに下げていく治療が一般的です。こうした治療は奥歯に装置をつけない部分矯正では行うことができません。またマウスピース矯正(インビザライン)の場合も抜歯を伴う治療は困難です。
凸凹がごく軽度な場合は、部分矯正で全体を”ならす”ことはできます。その場合、出ていた歯は少し引っ込み、他の歯は出ている歯に合わせて少し前に出てきます。インビザラインの場合は歯列全体を拡大し、歯と歯の間を削ることで、抜歯をした場合ほどではないものの前歯を2,3mm後ろに下げることができる場合があります。
矯正治療のデメリットとしては、通常治療期間が長くかかることです。抜歯を伴う矯正だと2年半前後、部分矯正で半年程度、インビザラインで1年~2年程度は治療期間が必要になることが多いです。

2.被せる治療

出っ歯の状態の歯を削り、かぶせ物で前歯の角度を補正する治療です。多くの場合、歯の神経をとり、”コア”と呼ばれる土台の部分で歯の角度を変えてからかぶせ物を装着します。
一番の問題点は、歯の神経をとることです。歯の神経をとると、歯の寿命は短くなります(これを否定する歯科医はいないでしょう)。むし歯になりやすくなり、痛みを感じないので重症化しやすく、自分で気づいたときには手遅れになることも多いです。その他、歯が割れるリスク、細菌感染して膿んでしまうリスクが高まります。
またもう一つの問題点として、かぶせ物はいずれ交換の必要があることです。1本10万円程度でセラミック冠を入れても、10年程度経過すればむし歯を疑っていく必要があります。セラミックは100年後でも綺麗なので特に寿命はありませんが、接着剤が劣化してくるとかぶせ物と歯の間に隙間が空いてくるのでそこから虫歯になります。特に神経をとった場合には注意が必要です。
セラミック冠を用いて出っ歯を治す治療のメリットは、治療期間が短いことです。神経をとり仮歯を入れれば、治療1日目で出っ歯を治すことも可能です。どうしても急ぐ必要のある方には向いています。また、出っ歯の歯がすでに神経をとっている場合にはかぶせ物で出っ歯を治す治療も候補に上がるでしょう。
しかし現在では審美的な矯正治療である裏側矯正やインビザラインといった治療法もあります。神経をとってしまうと歯自体の寿命が短くなり、セラミック冠を入れれば、またいずれ交換の時がやってきます。
なるべく歯を傷めない治療を選択したほうが賢明といえます。

3.外科手術

重度の出っ歯の場合には外科手術の適応となります。手術を伴う矯正治療は保険が効きます。総額で40万円~50万円程度の費用が必要となります(※高額療養費制度を利用した場合)。
メリットは口元だけでなく、横から見たお顔の輪郭まで変えることができます。
デメリットは全身麻酔を伴う外科手術が必要になり、約10日前後の入院期間が必要になります。通常は大学病院での治療となります。
治療の流れとしては、最初に矯正治療を行い歯の凸凹をある程度整えます(術前矯正:約1年~1年半)。手術を行った後、細かな歯並びの修正を行います(術後矯正:約半年~1年半程度)。
注意点としては、保険で行う矯正治療は表側矯正のみとなり、使える装置も金属色の装置限定となります。
また美容外科などで行う手術は全額自己負担となります。美容外科では術前矯正も術後矯正も行わないことが多いです(いわゆる”切りっぱなし”)。
”顎変形症”という病名がつけられない軽度の出っ歯の場合や、どうしても目立つ矯正のやり方が困る場合を除いては美容外科を利用するメリットは無いでしょう。

4.おわりに

出っ歯の治療として第一選択は矯正治療です。
かぶせる治療を”セラミック矯正”と称して売り出している医院がありますが、かぶせる治療は”補綴治療(ほてつちりょう)”であり、矯正とは別物です。歯を傷つける治療は最小限にとどめた方が無難です。
また、出っ歯の手術はまず歯学部の大学病院を第一に考えるべきです。保険で治療が行えますし、手術前と後に矯正治療も併用するので良い仕上がりを期待できます。

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